時代の流れに逆らって本棚を作ってみた(前編)

本棚と書類棚を作ったので、その顛末を紹介する。

1年あまり前、Ubuntu Weekly Recipe第100回記事に「一度読んだ本は裁断してPDF化している」と書いたのだが、ヘルニアで坐骨神経痛になってからは作業を中断していた。それでも本は買い続けていたので、置き場に困るようになってしまった。

ヘルニアも治ってきたことだしPDF化作業を再開すればいいのだが、以前から未読の本が増えていく傾向でもあるし、実家の倉庫に入れっぱなしの漫画なども部屋に並べたいので、本棚を置くことにした。これまではなぜか本棚を置く気にならず、机の上や整理棚、枕の横などに平積みしていたのだ。

本棚について調べたところ、本1冊が収まる程度の薄いものがいいようだ。奥行きの深い本棚だと本の前に別の本を並べてしまって背表紙が見えなくなり、探すのが面倒になるらしい。だが置きたい場所にちょうどいい幅と高さで、手頃な値段のものはなかなか見つからない。

「じゃあ自作できないか?」と考えて検索しているうちに出会ったのが、清く正しい本棚の作り方というサイトだ。書籍化もされている。

この本、本棚の作り方が丁寧に解説されているだけでなく、著者の本棚作りに対するこだわりが全編に渡って感じられる文章となっており、読み物として非常に面白い。読んでいるうちに、自分も本棚を作ってみたくなる。

だが、本棚の自作はそれなりに大変そうだ。自作しようかどうしようか迷っていたとき、パイン材の本棚をサイズオーダーできる本棚屋という業者があることを知った。自作より高くつくが、板から作るより楽だし失敗する心配もない。

自作するかオーダーするか少し迷ったが、やったことのない日曜大工を経験しておくのも良いだろうと考え、板を買って作ってみることにした。

まずは板の種類だ。「清く正しい本棚の作り方」では合板を使いペンキを塗って仕上げているが、私としては本棚屋の製品のように木目のある板で本棚を作りたい。そこでパイン集成材を使うことにした。

本棚の幅は置く場所にあわせて900ミリ程度が良い。だが、「清く正しい…」で紹介されている本棚の幅は約600ミリ。900ミリ幅で作って大丈夫だろうか。棚板がたわみそうなら、中央に側板を入れるなどの対策が必要になる。

900ミリ程度の幅で本棚を作っている人はいないか探したところ、壁一面の本棚の作り方というサイトを見つけた。パイン集成材を用いて幅866ミリの本棚を4つ制作した背景から作業内容まで、詳しく解説されている。このサイトの記述によると、どうやらパイン集成材で幅900ミリ程度の幅の本棚を作っても大きくたわむことはなさそうだ。

高さは、床から天井までが2450ミリなので2400ミリとすることにした。下段と上段に分けて作り、完成後に積み重ねることになる。

おおまかな大きさが決まったので、入れる本の大きさと数にあわせて棚板の位置と奥行きを検討していく。最も数が多いのはB6サイズの単行本なので、それに合わせたスペースを多く作りたい。高さ200ミリ、奥行き150ミリ程度あれば、大きめの単行本も入るようだ。その他、雑誌などを入れるのにA4サイズが入る高さ310ミリ、奥行き220ミリ程度のスペースもあると便利だろう。いろいろ検討した結果、幅は916ミリ(棚板880ミリ+側板18ミリ×2)、上部の奥行き150ミリ、下部の奥行き220ミリ、高さおよび棚板の位置は以下の設計で制作することにした(18ミリの行は棚板)。

高さ(ミリ) 主な用途
18
9段目 200 文庫本・新書
18
8段目 200 文庫本・新書
18
7段目 226 単行本
18
6段目 226 単行本
18
5段目 226 単行本
18
4段目 226 単行本
18
3段目 302 雑誌
18
上部合計 1750
18
2段目 226 DVD・CD
18
1段目 320 雑誌・大型本
18
50 ハカマ
下部合計 650
全体合計 2400

なお、上部の底板は「壁一面の本棚の作り方」を真似て凸型とし、下部の天板の奥行き(220ミリ)とあわせることにした。奥行きが150ミリだと、雑誌を並べた時に背表紙が宙に浮いた感じになってしまうからだ。

本棚に加え、同種の板で書類棚を2つ作って窓際に並べることにした。以前から書類を整理するための棚が必要だと思っていたので、本棚を設計しているうちに作りたくなってきたのだ。幅は本棚と同様、奥行きは250ミリ、高さや棚板は以下の通り。

高さ(ミリ) 主な用途
18
3段目 153 CDなど
18
2段目 340 書類(マガジンファイル)
18
1段目 340 書類(マガジンファイル)
18
50 ハカマ
合計 955

出窓のカウンターとあわせて、高さを955ミリとした。奥行きを250ミリ、1段目と2段目の高さを340ミリとしたのは、A4サイズ用のマガジンファイルを無理なく収納するためだ。

以上の設計は、木取り図を描きながら端材が少なくなるよう調整した結果だ。木取り図とは、購入する板をどのようにカットするかを描いた以下のような図だ。

板を自分でまっすぐに切るのは難しいので、この図を業者に渡してカットしてもらう。私が注文したのは、楽天市場の北零Woodだ。メールで木取り図を送れば、木材代金にカット代金を加えた価格を見積もってくれる。

なお「清く正しい本棚の作り方」では、木取り図だけでなく、簡単なスケッチ程度の全体図を書いて検討することが推奨されている。しかしながら仰向けのまま手書きで図を書くのは難しいため、脳内で想像しつつ木取り図をPCで書いてしまった。それで問題は出ないだろうと思っていたのだが…やはり組み立てる段階になって間違いに気づくことになった。

次回は、本棚と書類棚を組み立てて設置するまでを紹介する。